食わず嫌いをやめたら世界が広がった──初めての歌舞伎体験が教えてくれた副業の一歩

「歌舞伎なんて自分には縁がない」
正直、僕はそう思っていた。古典芸能と聞いただけで、難しそうだし、3時間も座って観るなんて退屈に違いない。だからこれまで歌舞伎には一切触れてこなかった。

ところが先日、妻に誘われて映画館で歌舞伎を題材にした映画『国宝』を観た。それが僕にとって、人生初の「歌舞伎体験」だった。最初はまったく気乗りしていなかったのに、3時間後には胸を震わせるほどの感動に包まれていた。

そして気づいたのだ。
「食わず嫌いでも、とにかく体験すれば世界は広がる」と。
これは歌舞伎に限らず、副業や新しい挑戦にもそのまま当てはまる真理だった。

目次

雪に散る血の赤──衝撃の幕開け

映画『国宝』は長崎の風格ある料亭を舞台に始まる。しんしんと雪が降り積もる中、新年会の華やかさと突然の銃撃戦。真っ白な雪に鮮烈な赤が広がり、主人公の父(やくざの親分)が血に倒れる──。
その映像美に、開始早々度肝を抜かれた。

やがて物語は歌舞伎へとつながっていく。主人公が新年会の余興で古典歌舞伎を演じ、その演技を見た人気歌舞伎役者が「筋がいい」と評価する場面。ここで初めて、「これは単なる抗争劇ではなく、“歌舞伎の世界”を描いた物語なのだ」と理解した。

歌舞伎の印象が一変した瞬間

それまで僕にとっての歌舞伎は、「梨園=ドロドロの世界」というイメージが強かった。けれど映画を観るうちに、その裏にある役者たちの努力と精進に圧倒された。

特に忘れられないのは、映画のポスターにも使われている女形の舞。二人で舞うシーンは、ただ美しいというだけではなく、人間の極限の修練が形になった芸そのものだった。体中に鳥肌が立ち、ただ「すごい」という言葉しか出てこなかった。

京都南座で観た『流白浪燦星(ルパン三世)歌舞伎』

この体験を経て、僕はついに実際の歌舞伎舞台へ足を運んだ。ちょうど京都南座で「流白浪燦星(ルパン三世)歌舞伎」が上演されていたのだ。

最初は「現代ものだし、どうせお遊びだろう」と半信半疑だった。だが観てみると、知っているキャラクターだからこそ物語に没入でき、笑いながら楽しめた。
それ以上に驚かされたのは、伝統技術の数々だった。

舞台上での早替えは本当に一瞬で、衣装も役柄も変わる。さらに本物の水を使った大迫力の演出には度肝を抜かれた。歌舞伎の「型」が現代作品にも息づいていることを知り、ますます惹き込まれていった。

次に観たいのは古典──『曽根崎心中』

映画と現代歌舞伎を体験した今、僕の心に芽生えたのは「本物の古典を観てみたい」という欲求だ。特に近松門左衛門の名作『曽根崎心中』。江戸時代から人々の心を打ち続ける作品を、実際の舞台で味わってみたいと思うようになった。

歌舞伎にまったく興味がなかった僕が、ここまで気持ちを変えられたのは自分でも驚きだ。

食わず嫌いをやめたら、行動の力になる

この経験を通じて学んだのは、「体験することで心が動き、行動の原動力になる」ということ。
僕は以前、ワンピース歌舞伎のニュースを見ても「馬鹿じゃね?」と思っていた人間だ。だが今では、歌舞伎をまた観たいと思い、古典への関心まで持つようになった。

副業やビジネスの挑戦も同じだ。
「自分には向いていない」「難しそう」と思って一歩を踏み出せずにいると、何も変わらない。けれど、どんなきっかけでも「やってみる」ことさえすれば、想像もしていなかった景色が広がる。

もしあなたが副業や新しい挑戦に二の足を踏んでいるなら、まずは気軽に「現代歌舞伎を観に行く」ような気持ちで始めてみてほしい。
知っている題材や、テレビで見かけた俳優が出演している舞台なら、物語についていきやすく、興味も途切れない。その中で伝統的な技術や独自の世界観に触れれば、きっと心を動かされる瞬間が訪れる。

副業も同じ。完璧な準備は必要ない。とりあえず始めてみれば、その行動が感動を生み、未来を動かす力になる。

観ないまま終わらせるには、人生はもったいない。
一歩を踏み出すことで、未知は感動に変わるのだ。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よろしかったらシェアしてください
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次